人身損害に関するQ&A

　原則として，症状が完治するか，症状固定の状態に至るまでの間は，保険会社より治療費の支払いがなされます。

　症状固定とは，これ以上治療を続けたとしてもその効果が期待できない状態で，なおかつ，残存している症状が自然経過によって到達すると認められる最終の状態に達していることを意味します。

　症状固定の状態に至っているか否かは，傷害や症状の内容・程度，症状の推移，治療の内容や経過，検査結果，医師の診断等の様々な要素を考慮して判断されます。

　保険会社が判断した症状固定の時期と被害者の方が判断した症状固定の時期に相違があるために裁判となることも少なくありません。

　症状固定とは，これ以上治療を続けたとしても症状が改善する見込みのない状態のことを言います。

　そのため，症状固定後の治療費は，症状の改善に効果のない治療に対する費用であると評価されてしまい，損害賠償の対象には含まれないのが一般的です。

　もっとも，症状固定後の治療費であっても，症状の内容・程度，治療の内容等によっては，賠償の対象となる場合があります。

　例えば，以下のような事案では，症状固定後の治療費の賠償が認められる可能性があります。

　①交通事故が原因で植物状態となってしまったなど，生命維持のために治療が必要不可欠である場合

　②残存している障害が重いために，症状固定後も治療を続けなくては症状が増悪する可能性が高く，治療によって症状の悪化を防止する必要性・相当性がある場合

　③残存している障害が重いために，症状固定後も強い身体的苦痛が残っており，苦痛を軽減するために治療を行うことが必要であり，かつ，治療の内容も相当である場合

　交通事故被害者の方のご家族が入院や通院に付き添った場合，付添の必要性があると判断されれば，付添費用が賠償されることになります。

　付添の必要性については，医師の指示の有無やその内容，傷害の内容や程度，交通事故被害者の方のご年齢等の様々な事情を考慮して判断されます。

　例えば，交通事故被害者の方が重篤で，日常生活動作もままならないというような場合や，幼稚園児や小学生など年齢が若いような場合は，付添の必要性が認められやすい傾向にあります。

　賠償される付添費の金額も，上記の様々な事情を考慮して判断されますが，一般的には，通院付添は１日あたり３０００円～４０００円程度，入院付添費は，１日あたり５０００円～７０００円程度とされる傾向にあります。